成長
「成長」ってなんですか?
就職活動中に、よく聞かれる質問だ。
僕は、これが誰でも簡単に答えられる質問な気がする。
「潜在的な引き出しを増やす」
「できないことができるようになる」
「考え方の尺度に幅がもてる」
例えば上のどれか一つに、自分なりの体験談を盛り込めたら、それっぽい答えになる気がする。
成長したと認められることは難しいけれど、口にすることは簡単だ。
切符で改札をくぐる際、子ども用だと「ピヨピヨ」と音がする。たしか、小6まで有効だったはずだ。
先日、地元の最寄り駅でNのロゴのリュックを背負った少年を見送りながら、中学校時代のことを思い出した。
今日から切符が大人料金…
そのことを誇りに思う反面、交通費が嵩むことへの不満。
子供に戻りたいなあって考えていた14歳を思い出す。
だいたい10年が経った。
そんな切符一つで過去を羨み、今を疑うことはもうなくなった。
成長したのだろうか。精神的に、少しは成熟したのだろうか。今を受け止められるようになったのだろうか。
できなかったことができるようになる。
…僕は成長したのだろうか。
できなかったことができるようになった今、僕はなぜだか劣化したような気がした。
純粋さを失ったというか…
上手に言い表せないけれど、
人は成長する。身体も心も。
ただ、その間に何か失う。
その失ったものを肥料に、人は成長するのではないか。
冒頭にある写真は、パスポートの更新にあたり撮影した今と5年前の僕。
できるようになったことも増えたけど忘れたこともあるはずだ。
成長
容易に言い表すのは難しいと感じた。