仮面
就職活動をしているお前はつまらない。
先日、飲み会で言われた言葉が久しぶりに胸をえぐった。
なかなか独特の言葉を吐く先生もいたものである。どうしたら”僕”は、おもしろいのか、そもそも貴方は満足なのか。
僕の進む道くらい僕に決めさせてくれ
だなんて、青春群像的な青臭いセリフを吐いてみたいけど、やりたくて就職活動に励んでいるかと問えば必ずしもそうではないような気もする。
考えることにも飽きたし、今は現実を真剣に考えるべき時期に感じるのだが、焦燥感が占有するのみで、具体的になにをするでもなく僕は一人きりお気に入りの屋上で寝転がって、柄にもなく三島由紀夫を読んでいる。
仮面
読みながら考えたことがある。
大学生のどれくらいが被っているのだろう。
猫をかぶる女子学生の表の顔も仮面だろうし、言葉巧みにワンナイトラブを繰り返すどこかの誰かが飲みの席で、下心をひた隠しながらお酒を飲み干させる顔も仮面だとしたら。
逆を返せば、僕たちが生きているこの世界は仮面を被らないと困る場面の多い世界なのかもしれない。
屋上で寝転んでいられるうちは、猫も仮面も化けの皮も被らなくても平和でいられる気がする。